捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「クリフ、ロザリア様を見てみろ。お前が喚くほどロザリア様が追い詰められるのだ。それよりも早くレッドベリルを探しにいくぞ」
「くっそ……!!」

 朝から腹の立つことはあったが、これも今日までだと切り替えた。
 これから山へ素材の採掘に行けば、そこですべて片付くのだ。もう少しの辛抱だと私は自分に言い聞かせた。



 昨日と同じように、クリフが先頭を歩き、次にロザリアとアレスが歩き、私が最後についていく。
 岩場を登り、草木の間を進み、小川を飛び越えて山の奥へと進んでいった。時折、隠密部隊からこっそりとサインを受け取りながら、その時を今か今かと待っていた。

「お嬢様、待ちください」
「アレス、どうしたの?」
「……おい! 魔物が来るぞ!!」

 勘のいいアレスは、魔物の襲撃ポイントのかなり前で立ちどまった。それでもあれだけの魔物で襲い掛かれば、いくら竜人でも叶わないだろう。

「えっ! バハムートよ……しかもこの数!!」
「ざっと見て二十匹くらいですね」

 そうだ、ドラゴンに匹敵するほど強い魔物に、これだけの数で襲われたらひとたまりもないだろう。
 ここがアレスの墓場になるのだ。

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