捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2

19話 アレスはアレスのままよ

     * * *



 昨夜は濃厚な夜をアレスと過ごした。結界も張ってくれていたから、プライベートは漏れないはずだった。

 それなのに朝一でクリフ様にしっかりとバレてしまい、恥ずかしすぎて瀕死のダメージを負った。獣人の嗅覚を舐めていた。迂闊だったとすら思う。

 こんなところで燃え上がってしまった自分が悪い。まさに身から出た錆というやつだ。

 そんな朝をなんとかやり過ごし、やっとレッドベリルの採掘を再開した。
 昨日までは比較的に歩きやすい道だったが、今日は岩場を乗り越えたり、草をかき分けて進んだりとかなり道が悪かった。

 それでも一日でも早くレッドベリルを手に入れるために、アレスに支えてもらいながら山を登っていく。
 事態が一変したのは、そんな矢先のことだった。

「お嬢様、待ちください」
「アレス、どうしたの?」

 アレスが厳しい表情で立ち止まる。私を庇うように腕を広げ、前方の空を睨みつけていた。

「……おい! 魔物が来るぞ!!」

 クリフ様が焦った様子で叫んだ。
 そんなはずはない。だって昨日アレスが魔物を一掃したはずだ。

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