捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 悪いけれど、やられたまま黙っているほどおとなしい女ではないのよ。

「アレス、決めたわ」
「なんなりとお申しつけください」
「まずはファステリア王国の王城へ行くわ。転移の魔道具を用意して。それと同時にこれから書く手紙を竜王様へ届けてほしいの」
「承知いたしました」

 転移の魔道具を準備している間に、竜王様宛の手紙を書いてアレスに届けてもらう。ほんの十分ほどで戻ってきたアレスは竜王様からの返事を持ってきた。
 その手紙と一緒に一通の書類が入っている。目を通して私が希望した通りだと、口角を上げた。

「お嬢様、気持ちいいくらい悪い顔をされていますね」
「そうかしら? お楽しみはこれからよ」

 そうしてハイレットとクリフ、アレスを殺そうとした氷漬けの騎士たちもまとめて、ファステリアの王都にある王城へ転移した。



< 156 / 200 >

この作品をシェア

pagetop