捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 それからいろんな観光名所を回り、これでもかと新婚旅行を楽しんで三週間が過ぎた。せっかくだからとノイエール王国に戻り、ラクテウスに帰る前に船旅にも挑戦することにした。
 
 ところが、私は船に乗った翌日から船酔いでダウンしてしまった。

「ロザリア、大丈夫か?」
「ゔぅ……ごめんなさい……こんな、風に……なると思って、なくて……」

 ずっと吐き気が止まらなくて、起き上がれない。前に船に乗った時は大丈夫だったけれど、子供の頃のだったから体質が変わったのかもしれない。

「ロザリアはゆっくり休んで。これも新婚旅行の思い出になる」
「アレス……ありが……とう」

 アレスの優しさに涙がにじむ。それなのにいくら寝ても回復せず、次の港で下船することにした。
 港の宿屋で一晩休んでもすっきりしなくて、アレスはものすごく心配している。

「ロザリア、まだ具合が悪いか? 一度医者に診てもらおう」
「まだ胃がムカムカしてるけど、だいぶよくなったから医者は大丈夫よ。今なら移動できそうだから、実家にお土産を届けてからラクテウスに帰りましょう」
「わかった。もしまた悪くなったらすぐに言って」
「ええ、その時は言うわ」

 私たちは宿屋の支払いを済ませ、アレスの転移魔法でスレイド伯爵家へ向かった。


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