捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 実家に戻ってきてリラックスできたのか、幾分吐き気は和らいでいた。こんなに長期間に渡って旅行したことがないから、身体がついてこれなかったのかもしれない。
 勝手を知るアレスに先導されて客室のソファーで、背もたれに身体を預けた。

「なにか飲みたいものはあるか?」
「……冷たくてさっぱりしたものが欲しいわ」
「わかった。待ってて」

 アレスはすぐに柑橘が入る果実水を用意して、私にグラスを手渡した。ひと口飲むと、爽やかな飲み心地の果実水が喉通っていく。

「ありがとう、落ち着いたわ」
「よかった。他に欲しい物はないか?」
「大丈夫、きっと長旅の疲れが出ただけよ」
「そうか……気が付かなくてすまない。ロザリアとの新婚旅行で浮かれすぎていた」
「アレスのせいじゃないわ。旅行は本当に楽しかったのもの」

 いつもはほんのわずかな顔色の変化も見逃さないアレスが、しょぼんとしている。私とて自分がこんなに疲れていることに気が付かなかったのだ。
 そこへ急いだ様子のお母様がやってきた。

「ロザリア! アレス! よく来たわね」
「お母様、お元気そうでなによりです」
「義母上、ご無沙汰しておりました」

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