捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 そうしてロザリアを手に入れ、開発する魔道具があれば帝国はさらに栄えていくだろう。
 私は頭の痛くなる問題を解決するべく、策を練った。

「わかっておる。よいか、お前はあのロザリアを自分のものにするがいい」
「それでは……結婚を許してくださるのですか!?」
「さらにセラフィーナをラクテウス王国へ嫁がせる」
「セラフィーナを……?」

 セラフィーナは政治的観点からもともと他国へ嫁がせる予定だった。
 嫁ぎ先がラクテウス王国であれば、ブルリア帝国の後ろ盾になったと認知され、アステル王国など蹴散らすことができる。竜人は番がいるとは聞いているが、奴らにとってもこの結婚はプラスになるはずだ。

 このタイミングでガチャリと扉が開き、プラチナブロンドをなびかせたセラフィーナがノックもせずに執務室に入ってきた。

「お父様、いったいこんな時間になんなの? 早く寝ないとお肌に悪いのよ。さっさと話を終わらせてほしいわ」
「セラフィーナ、執務室へはノックをしてから入りなさいと言っているだろう」
「もういいじゃない。こんな時間なら宰相もいないし、機密なにもないでしょう」

 未子の娘がかわいくて甘やかしてきたせいか、皇帝である私にもこんな態度だ。成人してからはさすがに他者がいるところでは大人しくしているが、気が緩むとすぐにだらしなくなる。
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