捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「では人をご紹介いただきたい。顔つなぎしてくださるだけで結構です。あとは自分たちでどうにかしますので」
「それくらいならなんでもありませんわ! ではわたくしとダンスを踊っていただけたら、アレス殿下のお望みを叶えましょう」
「なるほど……」

 ロザリアもハイレットから似たようなことを言われたのだろう。
 ならば、俺がこの女とダンスを踊ったところで、ハイレット以上に役に立つものは得られない。

「それなら今の話はなかったことにしてください。もうダンスも終わりますので」

 あんぐりと口を開いたセラフィーナを置いて、俺はダンスフロアへと足を進めた。



 くるりと回転したロザリアのライトブラウンの髪がなびき、俺を誘うように引き寄せる。他の男に抱き寄せられるのを歯を食いしばってこらえ、ダンスの終わりと同時に奪い返した。

「ロザリア、迎えにきた」
「アレス!?」
「これは……失礼、ロザリア様がおひとりでしたので勝手ながらダンスにお誘いしました」
「あの、アレス、これは理由があって……」
「うん、わかってる。そんなの顔を見ればすぐにわかる」

 ホットしたロザリアの様子から想像すると、きっと俺に黙ってダンスに応じたから罪悪感を感じていたのだろう。
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