捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
「ですが、今回のお手柄はやはりハイレット様です。私では帝都の外れにある素材屋など探すことができませんでした。ハイレット様があの素材屋を見つけてくれたから、次の行き先も決まったのです」
「うむ、確かにそうだな。私が最初の店であの無礼な素材屋を聞き出せたからよかったようなものだ」
「ええ、ハイレット様にはお世話になってばかりで恐縮です。オークションへの参加や販路確保の貴族のご紹介もありますし、あのような小さな店のことなど放っておきましょう」

 私はアステル王国で培った処世術を使って、ハイレット様を落ち着かせた。
 大陸の王族や皇族は気位が高いので、こういった対応をされると我慢ならないらしい。

 私がハイレット様を褒めているとアレスから冷気が漏れ出してきたけれど、この場ではどうにもできなくて馬車の中はひんやりとした空気に包まれた。

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