捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました2
 急なお別れになるが、これからアレスとふたり旅になると思ったら心が弾んだ。

「ロザリア様。ここまできたのですから、最後までお付き合いいたします。私もファステリアまで同行しますので、ご安心ください」
「……いえ、さすがにハイレット様は帝国の皇太子ですから、大切な御身を危険に晒すわけにはまいりません」

 ハイレット様が同行しても安心する要素は一ミリもない。なのに、なぜそんなに爽やかな笑顔を浮かべているのか。
 ニコニコと笑ったままで、まったく引く気がないようだ。

「ロザリア様、今こそブルリア帝国がラクテウス王国に友好であると示しましょう。私がこの身をもって、おふたりの旅路をともにいたします!」

 そう言われて断ったのなら、ラクテウス王国はブルリア帝国と友好関係を結ぶ気がないと受け取られかねない。つまり、私に断るという選択肢はないのだ。

「あ、ありがとうございます。よろしくお願いいたします」

 こうして素材探しの旅は、獣人の国ファステリア王国へと場を移したのだった。



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