夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
4日連続で彼女の姿を見なかったある時。

高校が早帰りだからと,真上から少し傾いている太陽を見て,俺は公園へ向かった。

通学路を少し外れた,若干の遠回り。

なんとなく逸る気持ちを抑えて向かうと,やはりと言うべきか。

そこにその人の姿は無かった。

とくとくと血の流れる心臓を抑える。

いて欲しかった。

そんな沸き上がった気持ちに背を向けて,俺は帰宅する。

その夜も家を抜け出したけれど。

そこに彼女の姿は現れなかった。

夜にしか現れない彼女がこの時間にすらそこにいないと。

まるで幻想だったかのような,この世界にそんな存在はいなかったかのような気がしてくる。

だってあの2人だけの時間は,俺とその人の2人しか知らないのだから。

彼女が突然現れたように,いつか突然終わりを迎えても,誰も教えてはくれないのだから。
< 10 / 47 >

この作品をシェア

pagetop