転生公爵令嬢のイチオシ!

明日はいよいよテストだ。
なので今日は勉強会の最終日。

「ストライブ様、この数日間本当にありがとうございました」

「いえ。クリスク公爵令嬢は飲み込みも早く、少しヒントを与えるだけで、ほとんど教えることはありませんでしたよ。私の勉強も捗りました」

ニコリと可愛らしく微笑む。
うっ!その微笑みにまたキュンです!!

でもストライブ様のお勉強が捗ったなら良かったわ。

「それに…あなたと楽しい時間が過ごせました」

可愛らしい微笑みから一転、真剣な表情に。

「え…」

そんな表情にドキリとする。

『きゃあ』
『見つめ合っているわ!』
『ストライブ様の想いがやっと!?』
『素敵なお二人よねぇ!』

周りの声が聞こえてきた!

「!!」

ヤバい!オーディエンスがまた!

「あ、あの、変な噂が広まりご迷惑をお掛けして本当に申し訳ございませんでした」

小声で謝罪する。

「いえ、迷惑だなんて、むしろ」

小声でも何でもなく、普通に話をするストライブ様。

「え…」

「もっとあなたと…」

ストライブ様の綺麗な濃い紫色の瞳がまっすぐに私を見ている。
私は動けなくなり、ストライブ様を見つめる。
そしてストライブ様は私の薄紫の髪をすくい上げて口元に…。

『素敵!!』
『愛の告白よ!』
『キャー!!』

ざわめきが一層大きくなる。

「メリア!!」

突如、お兄様に引っ張られ胸に抱き寄せられた。

「!!」

「ストライブ様、本日までありがとうございました。今後、メリアのことは私が見ますので。失礼」

図書室から出て馬車へと向かう。
早歩きのお兄様に引っ張られる!

「お兄様!お兄様!止まって!!」

「…」

図書室からかなり離れてからやっと足を止めてくれた。
はぁはぁと肩で息をしながら呼吸を整える。

「私のメリアは可愛いから心配だよ」

ギュッと抱きしめられた。

「…まだまだメリアはお兄様のメリアよ」

だから安心してね、と抱きしめ返した。


屋敷に帰宅して夕食を食べたあと、自室で試験勉強をする。
気づくとストライブ様の真剣な表情を思い出す。

私を見つめる濃い紫色の綺麗な瞳。
そして私の髪をすくい上げてを口元に…。
髪にキスしようとした!?

「ーーーーー!!!!」

真っ赤になってなんだか恥ずかしくてジタバタする!
いつもは可愛いのに、急に大人っぽくなって色気があったわ!!

「はぁ…」

ため息をつき、机の上に置いてあるイッチくんマスコットの頬っぺたを指で突つく。
落ち着かないわ。

「イッチくん。なんだか私、変じゃない?」

クリンとした瞳のイッチくんに聞いてみた。

「でも明日からは勉強会はもうないのか…」

私はまたイッチくんの頬っぺたを指で突ついた。


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