転生公爵令嬢のイチオシ!
講堂前でレイ様を待っていると、私がいることに気づいた人達がチラチラと見ていた。

『パーティーで…』
『あ、あの曲の…』
『ストライブ侯爵家のレイ様の…』

なんて言いながら通り過ぎて行く。

「?」

なんだろう。
でも見られているのが恥ずかしい。

制服に着替えたレイ様が待ち合わせ場所に来た!

「メリアーナ!待たせてごめんね」

「いいえ。レイ様、お疲れさまでした」

レイ様のヴァイオリンの演奏を思い出す。
言葉が続かず数秒間ふたりで見つめ合ってしまった。

「ウォッホン!」

「!!」

「!?」

「では私達はここで失礼いたします」

「ストライブ様、素晴らしい演奏会でしたわ」

「おふたりともありがとう。良い学園祭を。ではメリアーナ、私達も行こう」

「はい」

学園の他のクラスの出展を見たあとは、いつもの温室へと向かった。
最近はこんな時間がゆっくり取れていかなったから嬉しい。
でも並んで座ると緊張しちゃう。
久しぶりだからかな。

「レイ様のソロ演奏とても素敵でした」

「ありがとう。実はかなり緊張したんだよ」

「ええ!? そうは見えなかったです」

「…あの曲は君に捧げる為に演奏した」

レイ様が真剣な表情で私を見つめた。

「え…」

『あなたに出逢えた喜びを伝える』

「…」

『生涯あなたを愛する』

「……」

「そう気持ちを込めて作られた曲なんだ。だから演奏するならこの曲をと決めた」

レイ様…。

「もう気づいていると思うけど…」

レイ様の瞳から目が離せない。

「君が好きだ」

「!!」

「どうか私のことを考えて欲しい」

レイ様が切なそうな顔をして私の頬に手を添える。
ヴァイオリンを演奏していた時と同じ。
あの切ない音色がまた聴こえてくる。

やがて、いつもより大人びた表情で微笑んで、私をそっと抱きしめた。
演奏会前の抱きしめ方とは違い、そっと…。
まるで宝物を抱きしめるように…。

「馬車まで送るよ」

馬車までの道を手を繋いで歩いた。

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