転生公爵令嬢のイチオシ!
「薬が効いてきたかな?メリアーナが悪いんだよ。さぁ、僕が優しくしてあげるからね…」

ニヤニヤしながらジャガーが私に近づいてくる。

薬!?やっぱり変なの入ってた!
今世でも片岡は卑怯者なのか!
しかも優しくって何!

ジャガーが私の上に覆い被さろうとしたときに、遠くの方から騒いでいる人達の声が聞こえた。

「な、なんだ!?」

気を取られたジャガーの力が緩む。
その隙にソファーの上から転がるようにして下りた。
部屋の外に出たい一心で震える体に力を入れて扉に向かう。

「メリアーナ。もうそろそろ眠たいでしょ?無理はしないで」

騒ぐ声が聞こえなくなったからか、ジャガーが私の方にまた近づく。

「くっ…」

睡眠薬!?
ダメ!眠るな私!!
壁に手と肩をついて震える足でなんとか立つ。
部屋の扉に手を伸ばすが届かない!

涙で視界が揺れる。
レイ様!助けて!!
頑張ったけど、もうダメかもー!
ズルズルと崩れ落ちる。

私はここから出られないの?
もうレイ様と会えないのかな?
もう話もできないの?
私の好きなあの笑顔を見ることもできないの?

涙が次から次へと溢れてくる。

「う、レイさ…ま」

視界が暗くなってきたその時…。

バンッ!!

勢い良く部屋の扉が開いた。

「メリアーナ!!」

「なっ!おま・・・っ」

ダアンッ!!!!

大きな音がした。
一本背負い…?
視界が狭くなってきた中で誰かが投げ飛ばされたみたいにぼんやりと見えた。

「せ、んむ……?」

誰かに強く抱きしめられた。
安心する香りがする……。

私の意識はそこでプツリと途切れた。





*作者からのお願いです*
剣道の反則技は真似しないでください。
箒やトレー、お薬も正しくお使いくださいませ。
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