Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~

 私のマンションのエントランス前にタクシーが停まる。
 お金を払おうと思ったら、神流さんが勝手に払ってしまって彼と共に降ろされた。

「勝手に払わないでくださいよ」
「じゃあ、今度返して」
「今返しますからちょっと待っててください。……って、一万円しかない」

 否定してみたが財布を開いて見てみると一万円しかない。最近電子マネーで支払うことが多くて、細かいお金をあまり持ち歩いていないんだった。

「今度でいいって」
「今度はないので、今すぐ電子マネーで払います」
「残念ながらやりとりできそうなものは使ってない」
「えぇっ」

 じゃあ一万円どうぞ、と気前よく渡せるほど、私の財政は黒字ではない。

「それに、なんで神流さんまで降りたんですか。ここタクシーはつかまりませんよ。いまからタクシー呼びます」
「歩いて帰るからいい。駅まで10分くらいだろ? 道も全部覚えてるから」

 彼が私の部屋に泊まった次の日は、駅まで一緒に出勤した。
 駅からは離れて通勤したが。

 同じことを思い出したのか、彼も口を開く。

「あの時は、駅までって言って、電車も一緒に乗ってくれなかったよな」
「だって、付き合ってるのバレたくなかったし」

 そして別れて、結果的にもみんなにばらしていなくてよかったと思った。
 私と彼の関係を知っているのは、同期の水原だけだ。
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