Rebuild ~SEな元カレは彼女との空白の5年間をとり戻したい~
最終章:もう一度
 店を出たところで、きたタクシーに神流さんと乗り込む。

「帰るか」
「はい」

 やっぱり帰るんだよね、なんて思って、それからよかったと思った。

 考えてみれば今日そういう雰囲気になっても、下着が上下バラバラでお見せできない。

 というかお見せすることまで考えるなんて、なんてはしたない想像をしてしまったのだろう。
 さすがにそんなこと神流さんには口が裂けても言えない。

 隣に神流さんの熱を感じて、さらにおかしな想像をしそうになったとき、左手にするりと神流さんの手が滑り込んだ。

 ぎゅう、と握られ、おずおずと握り返す。

 昔、こうしてよく手をつないだ。
 それから変わってない感触に付き合っていた幸せな日々が思い出される。

 またこうしていられるだけで夢のようだ。
 これ以上求めたらバチが当たりそう。
< 60 / 68 >

この作品をシェア

pagetop