君が導き出してくれた私の世界

「なぁ、星乃はどうしたい? どんな学校生活送りたい?」

ふと、揺るぎない瞳で私を真っ直ぐに見つめる葉山くん。

まるで、私の心を見透かしているかのように。

「星乃の本当の気持ちを聞かせて欲しい」

……私の、本当の気持ち。

心の中にいる私に自問自答する。

私が学校でしたいこと……。

その瞬間、ずっと我慢していた思いが一気に溢れ出す。

私、したいことある!

勢いのまま文字を打って彼に送信した。

葉山くんはそれを読み上げた。

「“本当は、みんなと仲良くなりたい”」

それは、ずっと心の奥底に留めていた願望だった。

【友達と楽しくお喋りして、みんなと変わらない楽しい学校生活を送りたい】

ずっと、ずっと友達が欲しかった。

友達と仲良くお喋りしている人たちが羨ましかった。

一緒になって楽しんだり、泣いたり、時にはケンカしたり。

私はそういった経験をしてこなかった。

それ以前に……。

【私には、友達と呼べる友達が1人もいないから】

みんなを羨ましいと思う一方で、こんな自分に失望する日々。

思わず俯く私に葉山くんは言った。

「じゃあ、俺が星乃がいうその友達になってあげるよ」

その言葉に驚いて彼を見ると、目が合ってニカっと笑った葉山くん。

その笑顔は眩しいくらい明るかった。
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