【コンテスト作品】たこ焼き屋さんの秘密。


「俺も、智世里さんのことが大好きだ」

 嬉しいな……。久しぶりに誰かを好きになった。
好きになってよかったと思える相手が、ここにいた。
 なんでもないたこ焼き屋さんだと思ってたのに、こんなに私を思ってくれて、幸せしか感じない。

「私も、大好きです」
 
「智世里さんのこと、幸せにするって約束するよ。俺は絶対に、浮気なんてしないから安心して」 

 浮気されたことのある私にとって、浮気をしない人が一番安心する。
 郁さんはそんな人じゃないと信じてる。

「信じても、いい?」

「信じていいよ。 俺はこれから毎日、智世里さんのためにたこ焼き焼くからね」

「えっ、毎日?」

 郁さんは私の手を握ると、「そう、毎日食べさせてあげるよ」と微笑んだ。

「毎日は飽きちゃうからいいからなあ」

 と言いつつ、そんな優しい郁さんが私は大好きだ。

「じゃあ智世里さんが食べたい時に作るよ」

「まあ、それなら……いいかな」

 郁さんの作るたこ焼きは本当に美味しいから、いつ食べてもいい。 
 熱々でトロトロのたこ焼きは、とにかく食べると元気が出るし、お腹も心も満たされる。

「じゃあとびっきり美味しいの作るよ」

「うん、ありがとう」
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