ダイエット中だけど甘い恋を食べてもいいですか?
このフィットネスクラブにはお風呂があり、汗で濡れた身体をすぐに洗い流すことが出来た。

私はゆっくりと浴槽につかり、疲れた手足を伸ばした。

「あー極楽、極楽。」

お風呂からあがり、備え付けの体重計に乗ってみると、なんと500グラム減っていた。

「よおし。この調子で頑張ろう!」

スッキリした身体を来た時と同じジーパンとTシャツで包み、受付フロアの隅にある休憩コーナーの椅子に座って、無糖炭酸水を喉へ流し込んだ。

「ふぅ。」

私が一息ついていると、隣の椅子に紺のスーツにグレーのネクタイを締めた男が座った。

「お疲れ。」

男は目を細めて微笑み、私の顔を覗き込んだ。

ランニングマシンで私を助けてくれた、イケメン黒づくめ男だった。

「あ!お疲れ様です。」

「初日にしてはえらく頑張ってたじゃん。」

「そうですか?初めてなので、ペースがまだよく判らなくて。」

「そのうち判ってくるよ。君、ちゃんとプラン通りにやってるみたいだし。」

私は男に向かって、再び深く頭を下げた。

「あの、さきほどは本当にありがとうございました。助かりました。」

「別に、大したことしてねえし。それより明日は筋肉痛で大変だと思うよ。」

「筋肉痛・・・ですか。」

「見たところ運動慣れしてないみたいだし。大方、ダイエット目的で入会した口だろ?」

「バレちゃいましたか。私、食べるのが大好きなので、ダイエットしないとどんどん丸くなっちゃうんです。」

すると男は、私の身体を不躾に上から下まで眺めた。

こころなしか、胸のあたりを見る視線が少し長かったように思ったのは気のせいだろうか?

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