結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

 
 それから3年後。
 柚香が高校生になった時だった。
 
 賢太郎と挿花が亡くなった。
 死因は毒殺だった。



 最後に接触していたのは女子高生だったが、賢太郎と挿花に飲み物を渡した男子高生がいたようだ。

 賢太郎と挿花が毒殺された場所は金奈高校。
 その時は体育祭で、保護者も見に来ていた。
 その中に賢太郎と挿花がいたのだ。

 何故2人が金奈高校にいたのかというと、柚香の2歳上の兄・聖一郎(せいいちろう)がいたからだ。
 高校生最後の体育祭だから見に来てほしいと頼まれて、忙しい中来ていた賢太郎と挿花。
 そんな賢太郎と挿花にペットボトルのお茶を持って来た男子高生がいた。

 それは…。
 高校1年生だった聖。
 何故、賢太郎と挿花に飲み物を持って来たのかは不明だった。
 しかし、現れた聖を見て挿花は目を潤ませていたと近くにいた保護者が証言していた。

 その後。
 賢太郎と挿花に話しかけてきた女子高生がいたと証言があったが、その者が誰なのかはよくわからないままだった。

 体育祭が終わる頃。
 賢太郎と挿花はグランドで倒れていた。
 傍にいた保護者が発見して病院へ運ばれたが、既に死亡していた。

 体内から毒薬が発見され、ペットボトルのお茶の中に入っていたと断定された。

 聖が渡したペットボトルのお茶は新品で、蓋が開いていな状態だった。
 何故、毒薬が入っていたのか不明なまま、自殺したのかもしれないという噂もあったがその確率は少ないようで。
 最後に接触した女子高生が何か手掛かりを握っていると、警察は断定したが誰なのか分からないまま時は過ぎて行き迷宮入りになってしまった。

 聖一郎は貫太郎と挿花が残した遺産で大学へ進学して、挿花と同じ検事の道を目指していたが、賢太郎と挿花を殺した犯人を捕まえたいと言い出して警察官になった。

 
 
 夕日を眺めて昔を思い出した柚香…。

「…あの人は、お父さんとお母さんを殺す手伝いをしたかもしれない…」
 そう呟いた柚香は少し怖い目をしていた…。


 暫くして、聖が帰って来た。

「お帰りなさいませ、聖様」
 丁寧な挨拶で出迎えてくれたのは手伝いの恵子。
「ただいま。柚香は? 」
「お部屋にいらっしゃると思います」
 そう言って、恵子は一通の封筒を聖に渡した。

 速達で聖宛てに送らて来ている大きめの封筒。
「聖様に届いておりました」
「ああ…」

 何だろう? と思いながら、聖はそのまま自分の部屋に向かった。
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