抜けがけ禁止×王子たちの溺愛争奪戦
「(デート出来て良かったな……)」
笑みを浮かべて思った、
その時だった。
ひゅんっと、私の手に何かが巻き付く。その何かは――赤い糸。
「(あ、赤い糸……戻って来たんだ。私の手に)」
その糸を辿ると――やっぱり、声宮くんに繋がっていた。朝のまま、変わっていない。
「(やっぱり……声宮くんが運命の人なのかな?)」
朝は「絶対イヤ」なんて思ってた。だけど、今は……
今は――?
「なんだよ、芽衣」
「な、なんでもない」
「ふーん?」
不審な顔をして私を見る声宮くん。その顔から、私がふいと視線を逸らした時。
まるで赤い糸が笑ったかのように。風もないのに、フワフワ揺れた。