俺がこの世で一番愛してる人
愛しい人

「リュカ?」


 その声で意識が戻る。

 ゆっくりと目を開けると、見覚えのある白い天井が視界に入る。
 どうやら気を失っている間に職場である衛兵所に運ばれたらしい。

 先程声が聞こえた方に視線を向けると、心配そうな顔をしている彼女がいた。


「リーベ?」

「そうだよ、リーベだよ」


 本当に彼女がここにいるのか確かめたくて、勢いよく体を起こし、彼女を抱きしめる。

 ああ、よかった。
 ここにリーベがいる。
 無事にあいつから引き離すことができた。
 本当によかった。
 これで彼女があんな目にあうことはもうない。

 少しの間、無言で抱きしめてから、彼女がどこも怪我していないか気になり、肩を掴み彼女を離し、彼女の顔を見る。


「リーベ大丈夫だった? どこか痛むところとかない? 酷い目にあってない?」

「大丈夫だよ。リュカのおかげで、こうして元気よ。本当にありがとう。あなたがいなかったら、私まだあの部屋にいた。あの男に暴力振るわれてた。助けてくれてありがとう」


 彼女の言う通り、あんなに酷かった怪我も綺麗に治っている。

 涙ぐんで言う彼女が愛おしくて、また抱きしめる。

 彼女があの部屋から出て、こうして傍にいる。
 その事実がとてつもなく嬉しい。

 彼女も俺の背に手を回してくる。


「あのお二人さーん、俺もいるんだけど?」


 彼女がいる方とは逆の方から同僚のイアンの声が聞こえる。

 その声が聞こえると、彼女は俺から離れてしまう。

 別に離れなくてもいいのに。
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