「先生」って呼ばせないで
「乃蒼ちゃんは高嶺の花だからなー。入学式の時から話題になってたんだよ?知らない?」


「知らないです。なんですかそれ」


「超可愛い子が入学してきたって。モデルやってるんじゃないかとかアイドルなんじゃないかとか、いろいろ言われてた」


えぇ…私がモデル?アイドル??


何言ってるんだか。


「でも男子には素っ気無いって話も聞いてたから、委員会一緒になったときに仲良くなれて超嬉しかった」


え…?


嬉しかったって…。


それって…ポジティブに捉えていいよね??


「わ、私も嬉しかったです!遥斗先輩こそ皆の憧れの的で、私なんかじゃお近づきになれないと思ってたから…」


「ははっ!なんだそれ」


クシャッと笑うその笑顔がカッコ可愛い。


この笑顔をずっと見ていたい。


「……遥斗先輩…」


「ん?」 


…好きです。


できることなら、この笑顔を独り占めしたい。


でもそんなことはできない。言えない。


「…次、化学教えてほしいです」


初めてちゃんとした恋。


初恋とは違って、憧れとは違うたしかな恋愛感情がある恋。


叶えたいけど、踏み出せない。


私は意気地なしだ。
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