1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
それが、悲しかった。俺はその頃、どうしようもなく無力だった。
「タラニスッ、タラニスッ!起きてっ」
どこか遠くでマリアが俺の名を呼ぶ声が聞こえてくる。俺の意識はだんだんとはっきりしていき、やがて目を覚ました。
「あっ、起きたんだね!」
最初に目に飛び込んできたのはマリアの笑顔だった。俺はその笑顔に安心した。どんなに辛い毎日も、マリアと一緒なら乗り越えられる。マリアと俺は運送の仕事に、炭の仕事をしていた。いや、あれは仕事などではない。
奴隷だ。子供だからといって甘やかされるなどとは思っていなかった。それでも、あの仕打ちは酷すぎた。
「おい、お前!手が止まってるぞ!!」
どこからか怒声が聞こえてきた。
「おい、早く手ぇ動かせよ!こっちは金払ってやってんだぞ!!何とか言えよこの野郎!!」
その時だった。人がドサッと倒れる音が遠くからでも聞こえた。俺はその時、その場にいなかった。だから何が起こったのか知ることさえ出来なかったんだ。
周りにいた人間たちが何事だ、と群れるようにして、人が倒れる音がした方へ向かっていく。そこで、さっきまで俺の隣にいたマリアがいないことに気づく。俺は何か悪い予感を覚え、足早に向かった。
そこには───、
「っっ…!!マリア!!」
向かった先に待っていた光景は悲惨すぎた。それをやった犯人はプルプルと震えていた。
「俺は…、俺は何もしていないぞ!!こいつが勝手に倒れたんだ!!」
自分のやってしまったことが信じられないのか、怒声を上げた奴と同じ声を出しながら、その男は意味のない抗議をしていた。その言葉を聞いた途端、俺の心は砕け散った。
怒りと苦しみ、悲しみと後悔の矛盾した、今まで感じたことのないほどの感情たちが俺の心臓を震わせた。心臓の震えが心の叫びに変わっていく。