1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい


 竜の棲む森はとても不思議な世界だった。森全体が淡い青色に包まれていた。空が見えなくなっていた。そして───、

 竜の棲む所へ辿り着いた。

 マリアが俺の手を強く握る。ここで、本当にさよならだ。


「マリア、俺は必ず帰ってくる。約束、しただろう?」


 マリアは涙ぐみながらも力強く頷いた。ずっと繋がれていた手が離れていく。そこから手が冷たくなっていく感覚がした。そしてお互いに抱き締め合った。

 今までで1番、力強いハグだった。


「マリア、もう行くね」

「うん、気を付けて……」


 俺とマリアはそこで別れた。1人で行く道は2人で歩いていた道とは全く違った。そして俺は竜の棲む洞窟へと入って行った。


***


 そこは暗かった。闇に包まれていた。そして洞窟の奥深くから竜の大きな寝息が聞こえてきた。

 ドクドクドクドク……。心臓の鳴る速度がどんどん早くなっていく。そして、聞こえていた寝息がどんどん大きくなり、竜の姿が見えた。

 その姿はタラニスの大きさの何十倍もあった。大きさも力も比べ物にならないくらい圧倒的に竜の方が強い。それを目の前に、タラニスの肩が震えた。

 剣を握る力が強くなる。タラニスの剣は普通の剣じゃない。その剣にはタラニスの力が注ぎ込まれ、それは淡く光る。

 タラニスは竜の体に剣を突き刺し、盾をぶつけ、竜を目覚めさせた。その時───、


「グオオオオオオオオオ!!」


 眠っていた竜が、ついに目を覚ました。タラニスは戦うために構えた。竜は首を大きく振り、大きな黄色い瞳でタラニスを捉えた。竜はもう一度奇声を上げ、タラニス目掛けて勢いよく迫ってきた。

 タラニスは竜の目目掛けて地を蹴った。


「ギュオオオオオオオオオ!!」

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