1500万年後のあの場所で君とまた出会いたい
そう言って彼がニカッと笑ったので、私は目をぱちくりとさせてしまった。太陽のように眩しくて、温かくて、優しい笑い方を彼はした。
この人、こんな風に笑うんだなと少しくすぐったい気持ちになりながら、私も彼に笑いかけていた。嘘一つない、心からの笑みだった。作り笑顔なんかじゃない。きっと思わず微笑みを浮かべてしまったような顔をしていたのだろう。
「お前、そんな笑い方出来たんだな……」
気づかぬうちに彼の口から零れてしまったのだろう。彼は少しハッとした顔をして、何でもねぇ、と困ったように笑っていた。
「俺、春野蒼佑。今日から青山学院中学校の3年生だ。お前は?」
「私は、水無瀬羽琉って言います。私も今日から青山学院中学校の3年生になりますっ!」
なぜか語尾に気合いが入ってしまった。
彼と同じ中学校。これから彼と一緒に過ごせるかとしれないという気持ちが、期待とともに膨らんでいく。
「じゃあこれからは羽琉って呼ぶ。俺のことは蒼佑って呼んで」
今まで誰とも話をしてこなかった、向き合ってこなかった私が彼と友達のように打ち解けて話をしている。
「分かった、蒼佑…ね」
男子を名前で、しかも呼び捨てで呼ぶなんて初めてだから心臓がドキドキしすぎて痛い。ユユはご飯を平らげ、グーグーと喉を鳴らして気持ち良さそうに眠っている。
「この猫ってさあ、何か名前あんの?」
「うん。一応、私が勝手に付けたユユって名前があるけど……」
「ふっ、なんでそんな自信なさげな顔してるんだよ。羽琉とユユ、似てんな。纏ってる雰囲気とか…、すぐに目の前からいなくなってしまいそうなところとかも全部」
蒼佑は時々、と言っても出会ったばかりだが何もかも分かっている、理解している、全てを知っているかのような口振りで言葉を発することがあった。それがどうしてなのか、私はまだ、聞けずにいた。