愛してると言わせたい――冷徹御曹司はお見合い妻を10年越しの溺愛で絆す
家電はもちろんすべてアカフジ電機の最新のものが揃えてある。

便利で手間いらずの高機能に感動しただけでなく、インテリアに馴染む外観に驚かされた。

珪藻土の白いバスマットはその下に体重計が隠されていて、木目のサイドテーブルは空気清浄機だ。

ソファの前に置かれた白い大きなローテーブルはスマホを置いただけで充電されるし、引き出しを開けたら冷蔵庫になっていて、立ち上がってキッチンまで行かずとも冷たいドリンクが飲める。

一見、家具のような家電をステルス家電と呼ぶらしく、その機能開発の一部を朝陽の会社が請け負っているそうだ。

一階にはスクリーンが設置された映画観賞用の部屋と広いテラスもあって、リビングから階段を上がると二階には四部屋がある。

夫婦の寝室とそれぞれの個室、筋力を鍛えるマシンが置かれた朝陽用のトレーニングルームだ。

どの窓からも東京港が見渡せ、夜はレインボーブリッジと高層ビル群の夜景を楽しめる。

引っ越してひと月以上が経った今でも、夢のような住まいだと夫に感謝しながら生活していた。

「ね、今度、成美の家に招待してよ」

「はい。主人に確認してみます」

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