夢幻の飛鳥2~うつし世の結びつき~
うつし世の結びつき
椋毘登が自身の父親との面会が終わってから、さらに数日後のことである。
稚沙は、彼から前回の事件のことも含めて、一度話しておきたいことがあると伝えられていた。
「あの事件は、本当に大変だったわ。でも椋毘登の回復力って本当にすごい。私と違って、ひどく痛みも受けたはずなのに。とりあえず後遺症も無くて本当に良かったわ」
(もしかしたら夢に出てきた、あの2人が守ってくれたのかも?)
稚沙と椋毘登が同じ夢を見たのは、何とも不思議な体験である。人の魂や想いとは、この世に生きている自分たちには、本当に計り知れない事も起こすようだ。
そうこうしているうちに、少し遠くの方から椋毘登がこちらにやってくるのが見えた。ここは小墾田宮の隅っこにある場所で、よく待ち合わせに2人が使っている場所である。
(あ、椋毘登が来たわ!)
本当は小墾田宮の外で待ち合わせした方が、人に見られる可能性が低い。だが相変わらず椋毘登からは、会う時は絶対に小墾田宮の中で待っているよういわれている。
「椋毘登、こっち、こっち!」
稚沙は椋毘登に見つけて貰えるよう、大きく手を振って見せる。すると彼もそんな彼女を見つけたようで、そのままこの場所まで歩いてやってきた。
「悪いな稚沙、待たせてしまって」
稚沙自身も、少し前に来たばかりなので、そこまで長く待っていた訳ではない。なので「そんなことないわ」と首をブンブン振って見せた。
「お前って、本当にいつも面白い反応をするよな」
そういって椋毘登は、その場で少しクスクスと笑い出してしまった。彼女のこういう行動はどうやら彼のツボにハマるらしい。
(私、そんなに面白い事いったかしら?)
とりあえず立ち話も何なので、2人して近くの草むらまで歩いていく。そして手頃な場所を見つけると、その場に座って話を始める事にした。
「まず、この間の事件の犯人だが、やはり御食子殿のいっていた通りで、中臣の者だったそうだ。そしてこれは中臣の問題として、一族内で犯人達は処分されたそうだ」
「そうなの。犯人が見つかったのは良いけど、ちょっと痛々しいわね」
「仮に蘇我が罰していたとしても、同じ結果になっていたさ。まぁ、この時代じゃどうしようもないよ」
「そ、それはそうだけど......」
「ちなみに御食子殿は、俺に稚沙に宜しくいっといてくれだと。お前達がどういう経緯で知り合ったかも、それとなく聞いたから」
そういって椋毘登は、少しムスっとした。やはり彼的に、稚沙のこういう絡みの話は、余り面白くなさそうだ。
(とりあえずこの件に関しては、ややこしい話にならず、この程度で済んだってことで、良かったと思っておこう)
「それで次に例の夢の件だが」
「え、あの夢のことも何か分かったの?」
「いや、正直俺も昔のことはよく知らないから、知ってる人を見つけて、分かる範囲で聞いてきたんだ」
(確かにあの2人が来ていた服装からして、ちょっと古い感じだったものね)
稚沙は、彼から前回の事件のことも含めて、一度話しておきたいことがあると伝えられていた。
「あの事件は、本当に大変だったわ。でも椋毘登の回復力って本当にすごい。私と違って、ひどく痛みも受けたはずなのに。とりあえず後遺症も無くて本当に良かったわ」
(もしかしたら夢に出てきた、あの2人が守ってくれたのかも?)
稚沙と椋毘登が同じ夢を見たのは、何とも不思議な体験である。人の魂や想いとは、この世に生きている自分たちには、本当に計り知れない事も起こすようだ。
そうこうしているうちに、少し遠くの方から椋毘登がこちらにやってくるのが見えた。ここは小墾田宮の隅っこにある場所で、よく待ち合わせに2人が使っている場所である。
(あ、椋毘登が来たわ!)
本当は小墾田宮の外で待ち合わせした方が、人に見られる可能性が低い。だが相変わらず椋毘登からは、会う時は絶対に小墾田宮の中で待っているよういわれている。
「椋毘登、こっち、こっち!」
稚沙は椋毘登に見つけて貰えるよう、大きく手を振って見せる。すると彼もそんな彼女を見つけたようで、そのままこの場所まで歩いてやってきた。
「悪いな稚沙、待たせてしまって」
稚沙自身も、少し前に来たばかりなので、そこまで長く待っていた訳ではない。なので「そんなことないわ」と首をブンブン振って見せた。
「お前って、本当にいつも面白い反応をするよな」
そういって椋毘登は、その場で少しクスクスと笑い出してしまった。彼女のこういう行動はどうやら彼のツボにハマるらしい。
(私、そんなに面白い事いったかしら?)
とりあえず立ち話も何なので、2人して近くの草むらまで歩いていく。そして手頃な場所を見つけると、その場に座って話を始める事にした。
「まず、この間の事件の犯人だが、やはり御食子殿のいっていた通りで、中臣の者だったそうだ。そしてこれは中臣の問題として、一族内で犯人達は処分されたそうだ」
「そうなの。犯人が見つかったのは良いけど、ちょっと痛々しいわね」
「仮に蘇我が罰していたとしても、同じ結果になっていたさ。まぁ、この時代じゃどうしようもないよ」
「そ、それはそうだけど......」
「ちなみに御食子殿は、俺に稚沙に宜しくいっといてくれだと。お前達がどういう経緯で知り合ったかも、それとなく聞いたから」
そういって椋毘登は、少しムスっとした。やはり彼的に、稚沙のこういう絡みの話は、余り面白くなさそうだ。
(とりあえずこの件に関しては、ややこしい話にならず、この程度で済んだってことで、良かったと思っておこう)
「それで次に例の夢の件だが」
「え、あの夢のことも何か分かったの?」
「いや、正直俺も昔のことはよく知らないから、知ってる人を見つけて、分かる範囲で聞いてきたんだ」
(確かにあの2人が来ていた服装からして、ちょっと古い感じだったものね)