オレンジ服のヒーローは全力で彼女を守りたい
これ、夢じゃないよね?

私、助かったんだよね……?


『もうちょっと頑張って。
絶対助けるから』


あのとき、翔太くんの声が聞こえたような気がする。


「…もしかして、私を助けてくれたの翔太くんだった?」

「うん。この前の閉所暗所恐怖症がまだ残ってるとしたら、狭い場所には閉じこもらないと思った。
そう進言して、うちの班はサロンの中を優先して確認することになったんだ」


翔太くんはもう一度大きなため息を吐き、泣きそうな顔で微笑みかける。


「本当に無事でよかった」


…私、生きてたんだ。

翔太くんが助けてくれたんだ…

今さら実感が湧いてきて、涙が次々と溢れだす。


「怖かったよぉ…」

「うん。頑張ったな」


翔太くんの大きな手が、ポンポンと私の頭をなでる。

その温もりにまた気が緩んで、涙が止まらなくなる。

しばらくあやすように頭をなでてくれていた翔太くんが、静かに口を開いた。


「…それで、こんな時なんだけど、どうしても今言いたいことがある」


ギクッと肩が跳ねる。

十中八九、彼女と間違えた件だろう。

今そんなことを聞く気分じゃないし、心の準備が…

ちょっと待って、と言う前に、翔太くんの大きな手が私の手を包んだ。


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