恋愛は苦手です。でも恋の神様やってます。

まいった。
朝から使用人のみなさんがいつもの笑顔ではない、キリリとしたお顔で私に接してくる。
 
「おはよー、今日あったかいねー!」
いつもの調子で話しかける。が!
「おはようございます、唯様!」

90度。まさに90ど!
こんなすんごい深くてきれーなお辞儀見たことない。

「どーしたみんな……?」

あまりにも昨日までと違う対応に、私がびびった。すると使用人頭のコトさん御年88歳が現れた。
ほぼ隠居していたはずなのに、今日はめでたい日だからと朝から張り切っていたらしい。

「朝倉家当主をお継ぎになったとのこと、おめでとうございます。今後は我々使用人一同は唯様のために働かせていただきます。唯様が……ついに……!」

みんながうるうるしとる。
まずい、年寄りの涙には弱い。

「あ、ありがとうコトさん!でも今まで通りが私ありがたいな…てきな?」
ニコニコしながらいってみたが、コトさん激おこ。
「とんでもない!唯様も本日より当主として自覚を持って……!」



その後1時間がっつり怒られた。
余計なことを言わないのが正解だったのか……。
学校へ向かう道を歩きながらぼんやり考えていた。

我が家は女系。代々長女が16歳になって箱を継いだあと当主となる。
1000年続くと言われている我が家。占いの才能だけで日本を牛耳ってきた。
政治家から始まり、弁護士、医者、パイロットなどなど色々なお客様が我が家を出入りしている。
大きな日本家屋に、素敵な庭園。それらを管理するために雇われた使用人と祖母、父母、私という家族構成。使用人はみな我が家の離れに住んでいるのでなんでも知ってる仲なのだ。
なのにいきなりこの仕打ち、さみしすぎる!

「何も変わらないのになぁ、私は……。」

小声でぼやくといきなり目の前に顔が!
「うあああぁぁぁ!?」
どびっくりした私をみて大笑いする男がひとり。世那だ。
「なによセナ!全くもー趣味悪いな!」
「いやそっちこそなんか暗いから……どーしたのさ?」
まだ笑い顔を少し残したまま言ってきた。
そんな暗い顔してたかしら?
「そんな暗かった?なんでもないよ、いつものこと。」
「そんなわけないだろー、唯はいつも誰彼構わずおはよーおはよーいって歩き回りながら学校行ってんのに!」
「まあ、色々あんのよ私にも。」
「色々か……とりあえず放課後にでも茶でも飲みながら話そーぜ!どーせ暇だろ?」
失礼な…たしかに暇だけど。
「……わかった、まあそうしよ。たしかに誰かに聞いてほしかったかも。」


じゃあまた、放課後にと私達は別れた。
さて気分変えて授業受けるか……。

< 2 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop