変 態 ― metamorphose ―【完】
「ねえ、ぜったい似合ってないよね。おかしいよね」

「そんなことないって。似合ってるよー」

駅まであたしを送ってくれたかえちゃんは、紙パックのミルクティー片手にまだ赤い頬で微笑んだ。
陽のひかりがパープルの髪を透かす。

かえちゃんが貸してくれた真っ白なワンピースは胸下に切り替えがあって、そこから裾まではチューリップのようにふわりと広がっている。
七分袖のベルスリーブも相まって、身体が落ち着かない。
空気をたっぷり含んだ生地がひらひらと肌に触れるのは、どうにもこそばゆい。

「そのワンピース、いち花にあげる。あたしには丈が長くて一度しか着てなかったし、泊まってくれたお礼。片付けも手伝ってもらっちゃったし。ところで……近いうちに、綴さんに会ったりする?」

「どうかな……。綴、忙しいみたいだから」

「もし会ったら、綴さんに圭くんのこと謝っておいてもらえないかな。あたしから謝ったって意味がないのはわかってるけど……」

頷くことも断ることもできなくて、あたしは曖昧に「ああ……」と返した。
かえちゃんのワンピースを着ているせいか、かえちゃんのベッドで寝たせいか、あたしからも微かにコットンキャンディーの香りがする。
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