離婚を決意したはずが、スパダリ社長の独占愛によって離してはくれません!

◇離婚してください。


 
 私は翌朝、南都さんが好きなメニューでお弁当を作っていた。朝食は、普通にご飯と味噌汁に鮭に漬物といったものだけどお弁当にはおかか梅おにぎりに甘めの卵焼きほうれん草のお浸しにきんぴらごぼうと冷凍していた少し小さめに作っていたハンバーグを焼いて盛り付けた。


「……よし、完成」


 食べてくれるのか分からないけど、でも、今日“離婚”を申し込むんだから気合いを入れないとね。

 盛り付けが終わると、南都さんが起きてきた。


「おはよう、光寿ちゃん」

「おはようございます、南都さん。朝食できてますよ」

「今日も美味しそうだね。楽しみ……顔洗ってくるよ」

「はい」



 私はいつものようにお味噌汁とご飯を盛って配膳をすると南都さんと向かい合い食べ始めた。
 そして食べ終わると、彼は片付けも一緒にしてくれる。本当に優しい人だ……だけど、この優しさを向けるのはただ妻という肩書きがあるからってだけなんて虚しくなる。


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