クールで一途な後輩くんと同居してみた
💛ワースト3



「えへっ、えへへっ」



 ――緋織先輩、実はスイくんと仲良しだったかもしれない!


 ルンルン気分を撒き散らしながら二人で部活巡りの旅に出る。


 私のあげた部活ノートを読んで付いてくるスイくんは、地図を持って宝を探す探検家みたい。


 そして私は隊長! スイくんが納得する部活探し、開始っ! おーっ!



「でもさっ? クラスのお誘い断ってよかったの?」



 二人で教室を抜けるとき、女の子達が不安そうに「く、クラス会は……?」なんて聞いてきたんだよね。


 入部の期日までは余裕あるし、また今度にするかぁーって思ってたら。


 スイくんはバッサリ、



「緋織先輩が優先だから」



 って同級生を切り捨てちゃった。


 確かに約束は私の方が早かったかもしれないけど。


 嬉しくもあり……大事な後輩の立ち位置が危うくならないか心配でもあり……。


 当の本人は普段の涼しげな顔をしているから、余計なお世話なのかなぁ。


 先輩としての正しい行動が問われてしまうよ。



「クラスで孤立したら緋織先輩が相手してください」

「そ、それはもちろん! でもちょっとは仲良くなった方がいいと思うよ?」

「はぁ……」



 スイくんはノートに目線を下げたまま生返事。


 押し付けがましくてダルいと思われてるよ。


 慕われる先輩への一歩、停滞中だ……。


< 27 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop