爽やか系イケメンの本気。



こういう時、この表情筋には感謝でしかない。
顔には、動揺は出てないはず。

え、今絶対お姫様抱っこって言ったよね?なんで広まってるわけ……っ!!


平然を装って席に座り荷物を整理するけど。
心の中の私はずっと騒がしい。


チラリと教室を目線だけで見ると、やっぱりみんな私を見てどこかソワソワしていて。

どうすれば……。

そう考えていると、1人の女の子が私のところにパタパタと走って向かってきているのが視界に入ってそっちに目線を移す。

あ、この子は……


「あの、宇原さん……っ!」

「…姫宮さん?」


あの時、私が助けてあげた子だ。
その子はほんのりと顔を赤く染めている。

……どうしたんだろう。


「あ、あの……お、」

「なに?」

「お、お…っ、おはよう……っ!!」


真っ赤な顔で発した言葉は私が思ってもいなかった言葉。
頭にハテナが浮かびながらも、


「お、おはよう……?」


と返すと、どこか嬉しそうにふにゃりと笑った。
……可愛いな、この子。


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