無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜
 その中には、作業着を着て木材を肩に担いだ瑛斗の姿もある。

 重そうな木材を汗を流しながら運ぶ姿が、優には眩しい。大橋建設の専務とは思えないほど、大工としての仕事も完璧だ。

 初対面の時と同じ状況に、前回よりドキドキしている自分に優は驚く。

「お疲れ様です!」

 優の元気な挨拶に、職人達は笑顔で挨拶を返してくれる。慎のところの職人が多く、顔見知りだ。

「おう」
「慎さんどうですか?」
「ああ、順調だ。なんせ瑛斗がいるから、困ることはない」
「そうですね」

 何かあれば、一級建築士であることも、大橋建設の専務であることも強みだ。

「どこか気になるところはありませんか?」

 優自身も、職人である慎の経験からたくさんのことを学んでいる。

「今のところは大丈夫だ。瑛斗がいると仕事が捗る」
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