無口な彼の素顔〜職人技に隠された秘密〜
「さあ、そろそろ続きをするぞ」
「あっ、お邪魔してすみません。少しお手伝いしてもいいですか?」

 慎の言葉に作業を止めてしまっていたことに気づいた。目の前の現場を見ていると、優自身もうずうずしてくるのだ。

「邪魔するなよ」
「わかってます」

 瑛斗のからかう言葉に不貞腐れながら返事をする。だが、瑛斗は優の返事を聞き楽しそうだ。

 慎は、内心驚きながらも二人を見守る。長年瑛斗を見てきたが、こんなに楽しそうに女性と話をしている姿は初めてだ。唯一大工仕事をしている時だけが、本来の瑛斗の姿を見せるが、専務として会うといつもピリピリしていて別人のようなのだ。女性に対しては、いつも専務モードで接しているのだが……。

 現場が完成する頃には、何か進展していることを願う。
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