【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第15話
東日本大震災で生まれ故郷をなくしたアタシは、3月31日に岡山県に到着した。

この日の朝方、宇野港の待ち合い室でボロボロになって倒れていたところを交番の警官に発見された。

その後、玉野市内の警察署の生活安全課に保護された。

実父の親族は、東日本大震災で全員亡くなった。

義母カタの家は、義母をカンドウしたのでソエンになった。

身寄りをなくしたアタシは、実母の遠縁《とうえん》にあたる家の長男夫婦に引き取られたあと香川県にあるこども病院に入院した。

アタシは、中学3年生の単位をリセットして留年することにした。

4月7日に、いったん病院を退院した。

翌日、丸亀市内にある公立中学に落第転校《てんこう》した。

2012年3月中旬頃に、丸亀市内の公立中学を卒業した。

手にした卒業証書は、紙切れ1枚のもらいものであった。

翌月、遠縁《とうえん》のコネで丸亀市内にある女子高に進学した。

2015年3月1日に高校を卒業した。

手にした高校の卒業証書もまた、紙切れ1枚のもらいものだった。

賞状なし、資格特技なし…で通した3年間…

単に時間をうめるために行った高校なんか楽しくなかった…

親しい友人は、ひとりもいなかった…

ものすごくさびしかった…

そしてそのまた一方で、ギンゾウと対立していた竹宮《たけみや》たちについては、東日本大震災による津波にのまれて行方不明になった。

あれから4年が経過したが、竹宮《たけみや》たちが発見されたと言うニュースは報じられなかった。

話は変わって…

丸亀市内の女子高を卒業したアタシは、遠縁《とおえん》の人のすすめで進学する予定だった付属の短期大学(髙瀬にキャンパスがある)に行くことを拒否して家出した。

アタシは、自分の力で生きて行くと訣意《けつい》をかためたのに、遠縁《とおえん》の人がアタシの学生証を短期大学にひも付けした。

アタシはひも付けしてくれと頼んだおぼえはないわよ…

アタシがそう言うと、遠縁《とおえん》の人は『あと2年の間、学園生活《キャンパスライフ》を楽しんでおいで…』と言うて、短大へ行けと強要した。

学費《おかね》は十分あるから大丈夫よ…

卒業後に就職は、知ってる人に頼んだから大丈夫よ…

私たちは、こずえちゃんが学園生活《キャンパスライフ》を楽しんでいる姿をみたいんだよ…

遠縁《とおえん》の人は、アタシになにを求めているのか?

アタシが学園生活《キャンパスライフ》を楽しんでいる姿をみたいと言うのはどういうことよ…

アタシは、遠縁《とおえん》の家の人たちをうざいと感じるようになった。

4月2日頃、アタシはイヤイヤ短大に入学した。

しかし、4月7日に同じゼミ生のコの顔を殴って大ケガを負わせたもめごとを起こした。

もめごとの原因は、よその大学の男子学生(4回生・ええとこの家のオンゾウシ)をめぐって、ゼミ生のコと対立したことであった。

この他にも、アタシは複数のもめごとを起こした。

いずれも、ゼミ生のコに大ケガを負わせた。

その末に、ケーサツざたになった。

そして、短大を除籍《クビ》になった。

アタシは、バツとして兵庫県川西市の久代《くしろ》で暮らしている本家の長男夫婦の知り合いの夫婦の長男で伊丹市鋳物師《いたみしいもじ》にある大手食品メーカーの工場に勤務しているごんぞうさん(34歳)とお見合いして結婚することになった。

ごんぞうさんの父親の知人の弁護士さんが大ケガを負ったゼミ生のコの家の人たちとジダン交渉などで世話になったので、ご恩返しをするためにごんぞうさんとお見合い結婚した…と言うことであった。

アタシは、2015年7月初め頃にごんぞうさんと結婚した。

だけど、婚姻届を市役所に出すのがイヤだから出さなかった。

そうした生ぬるい気持ちが原因で新たな悲劇の幕があがった。
< 15 / 95 >

この作品をシェア

pagetop