【一気読み改訂版】黒煙のレクイエム
第80話
その頃であった。

仙台《もりのみやこ》でバイト生活を送っているアタシは、つばきちゃんと一緒に晩ごはんを食べに行った。

ところ変わって、JR仙台駅付近にあるジャンジャン横丁のラーメン屋さんにて…

つばきちゃんとアタシは、650円のニラとホルモン焼きのラーメンとぎょうざと白ごはんを注文した。

晩ごはんを食べていたときに、テレビのワイドニュース番組で報じられたシューカツ中の大学生が面接の時に面接官のオワハラ(終わりにしろハラスメント)発言が原因でトラブルを起こした企業を公表したと言うニュースを聞いた。

つばきちゃんは『最近のテレビのワイドニュース番組はオワハラ問題のニュースばかりでうんざりするわね!!』と言うた。

オワハラ問題を起こした企業の中にあいつが勤務しているJFの支所もリストに入っていた。

つばきちゃんは、コップに入っていたビールをのんでからアタシに言うた。

「ねえこずえちゃん。」
「なあに?」
「こずえちゃんは、今のダンナとリコンした後、どうするの?」
「あいつとリコンしたら再婚なんかしないわよ…あいつらと話し合いをしてもムダよ…」
「そうよね…こずえちゃん、もっと自分の意志を気持ちを強く持ちなよ…こずえちゃんの意志が弱いから足元を見られてばかりいるのよ…しっかりと地に足をつけて、力強く前を向いて歩かないとダメよ。」

つばきちゃんはアタシに言うた後、ラーメン鉢に残っているおつゆの中に追いめしを入れて食べた。

さて、その頃であった。

勤務態度が極力悪化したあいつの怒りが最高値に達した。

JFに就職をしたのは、吉浜さんのオワハラが原因であった…

それだけではなく、義父がお酒のトラブルを繰り返していたことと嫂《おねえ》が大学院へ行くことを阻止したことにも腹を立てていた…

あいつの怒りは、破局級の一歩手前におちいった。

あいつは、義父がのんでいる日本酒の一升瓶を強引に取り上げた。

義父があいつに対してお酒を返してくれとコンガンした。

あいつは、よりし烈な怒りを込めて義父を怒鳴り付けた。

「ふざけるな!!オレの人生をボロメタにしておいて何が酒返せや!!」
「きよひこ…返してくれ…酒を返してくれ…」
「返してほしいのだったら、オレの人生を大学2回生の頃まで戻せ!!」
「ワシは…酒がなかったら生きて行けない…」
「それじゃあ死ね!!」

あいつが義父からお酒を取り上げた現場を嫂《おねえ》が目撃した。

嫂《おねえ》は、あわててあいつを止めた。

「きよひこさん!!おとーさんにお酒を返してあげてよ!!」
「いいや!!返さない!!」
「おとーさんはお酒をのむことが楽しみなのよ!!」
「ふざけるな!!何が酒を返しなさいだ!!殺してやる!!」

思い切りブチ切れたあいつは、刃渡りのするどいナイフを出したあと嫂《おねえ》をイカクした。

嫂《おねえ》は、泣きながら命乞いをした。

「きよひこさん、ごめんなさい…大学院へ行くことを阻止してごめんなさい…」
「ワーワー!!」

あいつは、ワーワー叫びながらナイフを振り回して暴れた。

嫂《おねえ》は、なおもあいつに命乞いをした。

「お願いやめて!!…殺さないで!!」

あいつは、キチガイになっているので嫂《おねえ》の声はあいつの耳に届いていなかった。

その後、あいつは家のものを次々とぶち壊した。

(ガシャーン!!ガシャーン!!ガシャーン!!)

「ワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワーワー!!」

義父と嫂《おねえ》は、あいつがこわいので暴力を止めることができなかった。

あいつは、ひと晩じゅう奇声をあげて暴れまわった。

それから数日後のことであった。

あいつが勤務していたJFの支所内の金庫に大穴を開けた。

金庫の中には現金と従業員さんたちの冠婚葬祭や親睦のために積み立てていた預金通帳などがあった。

これにより、あいつはJFの支所…いいえ、組織自体に居場所をなくした。

アタシは、あいつがサツにパクられようが交通事故で死のうがヤクザの拳銃《チャカ》でドタマぶち抜かれようが関係ない…

アタシは、あいつの家の親類縁者全員を倒すまで徹底的に戦うわよ!!
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