クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ
「蒼永さん、昨日お誕生日だそうね。
うちの結愛も昨日で16になりましたのよ」
「そうなんです!え〜お誕生日一緒なんだぁ」
「…おめでとうございます?」
「えっ、嬉しい!こちらこそ、おめでとうございます〜」
1個下だったのか。
同じ誕生日だからって特にどうということはないけど…気のせいかもしれないけど、なんか結愛の目の色がちょっと変わったような気もする……。
「結愛はこう見えて、料理は一通りできますの。
華道と茶道を嗜み、弓道では去年全国優勝もしました」
「嫌だわ、おばあさま。結愛なんてまだまだです」
「謙虚な姿勢も、九竜家の嫁に相応しいと思いませんこと?」
「…………。」
多分家族全員が同じことを思ったと思う。
ついにぶっ込んできたか、と。
じいちゃんは咳払いをし、徐に言った。
「悪いが姉さん、前にも話したと思うが蒼永には既に許嫁がいる」
「貴方の旧友のお孫さんだそうね。
お友達同士で仲良くだなんて…九竜本家当主が、そんな馬鹿げた理由でお決めになったの?」
…咲玖のこと、調べたのか。
大伯母は微笑んでいたが、目は全く笑っていなかった。というより、ここに来てからずっと目は笑っていない。