クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ


「咲玖、ずっと黙っててごめん」


二人きりになるなり、開口一番に蒼永は謝った。


「本当は話すつもりでいたんだけど、余計な心配かけそうで…」

「大丈夫だよ。でも、これからはちゃんと話してね!
蒼永がつらい時や大変な時、ちゃんと支えたいの」

「咲玖…」

「蒼永は優しいから、私のためを思ってくれるってわかるけど、夫婦になるんだもん。
楽しいことだけじゃなくて、悲しいことでもなんでも共有したい」

「……俺は、咲玖には背負って欲しくなかった。
今回の件でうちはやっぱり特殊なんだって思ったし、うちの問題を咲玖には背負わせたくない。
咲玖にはずっと、笑っていて欲しいって――」

「そんなのやだ!!」


涙腺が緩みそうになるのを、グッと堪える。


「そんなの寂しいよ…だってそんなの、家族じゃないじゃん……」

「……っ!」

「一人で抱え込まないで、なんでも話して欲しい。
全部受け止めるし、なんでも二人で分け合っていきたい。
頼りないのはわかるけど、私にももっと甘えて欲しい……。だって、それが夫婦でしょ……?」

「咲玖、ごめん……」


引き寄せられて、ぎゅっと抱きしめられた。


「これからはちゃんと全部話す」

「うん…」

「だから咲玖も話してね」

「うんっ」


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