クールな許嫁の甘い独り占め。Ⅱ

3.許嫁しか見えない side.A



「あんたのその独占欲、いい加減どうにかしたら?」


いつだったか忘れたけど、春日井に言われた。


「弟にまで妬くのはヤバいわよ」


…ああ、そうだ。
母親の妊娠を話した時だっけ。

まだ弟だって決まったわけじゃないけど。


「子どもの頃からそこだけは全然変わらないんだから!婚約してんだからもう少し余裕を持ちなさいよ」


余裕ねぇ…。

別に咲玖を誰かに取られる心配をしてるわけじゃない。
仮に弟でも絶対渡さないし、絶対に離さない。

ただどうしても、他の男が咲玖を見るのが嫌なだけ。
話しかけたりするのも無理なだけ。

って言ったら、「そういうところ」だと春日井に呆れられた。
だって嫌なものは仕方ない…咲玖は俺だけのものなんだし。

「束縛はやめなさいよ」と最後に言われ、それは確かに本意ではないなぁと思った。
矛盾してるって思われるかもしれないけど、咲玖のことを縛り付けたいわけじゃないんだ。

いやまあ、俺なしで生きられなくなって欲しいとか思ったりもするけど…これって束縛?
よくわかんなくなってきた。


「九竜!準備できたか?」

「……」

「おい!何ぼーっとしてんだよ!」

「…あ、部長」


剣道部の部長に話しかけられ、我に返る。
…えーと、なんだっけ?


「新入生の部活紹介だよ!!」


…あ、そうだった。


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