愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする

「心配して駆けつけてあげた両親に対する第一声が〝どうしているの〟はないんじゃない？」

「そうだぞ、もっと喜ぶべきだろ」

　両親に口々に言われるが、連絡もなしに来たのだから喜びよりも先に驚きがきて当然だ。

「だけど、本当にどうしたの？　もしかしてなにかあったとか？」

　急に来るとなると、緊急事態が起きたのかと勘ぐってしまう。しかし違うようで母は首を横に振った。

「いいえ、違うわ。……明子から萌が遼生さんのことで悩んでいるから、相談に乗ってあげてほしいって連絡をもらったの」

「明子さんが？」

　きっと明子さんは、私を気遣って両親を呼んでくれたのだろう。明子さんにもここのところ、何度も遼生さんのことを相談していたから。

「明子から聞いてびっくりしたわ。まさか遼生さんが記憶を失うほどの事故に遭い、さらには偶然にも再会したなんて」

「こんなことは父親としてあまり言いたくないが、萌と遼生君は運命の赤い糸で結ばれているんじゃないかと思ったよ」

「本当よね。おまけに凛も遼生さんに懐いているって言うじゃない？　本能で父親だってわかったのかしら」

「そういうものだろ、親って存在は」

　勝手に話を進めてふたりは同時に私を見た。