愛が溢れた御曹司は、再会したママと娘を一生かけて幸せにする
 チラッとふたりを見る。

 凛が遼生さんの隣がいいと言ったのもショックだったようで、反対側の席を維持で父は確保した。

 そんな父はご飯を食べ進めながら遼生さんはジッと見つめるばかり。ただでさえ遼生さんは居心地が悪いはずなのに、父のせいでさらに気まずい思いをしているに違いない。

 それというのも、遼生さんからプロポーズを受けて三人で抱き合う姿を、ちょうど凛へのプレゼントを買いに行って戻ってきたふたりに見られたのだ。

 母は大喜びして、父は複雑そうに唇を噛みしめていた。そして興奮した母は明子さんや文博さんにも報告し、あれよあれよという間に今の状況になっていた。

「りょーせ―君、唐揚げ食べる?」

「あ、うん。食べようかな」

「じゃあ凛が食べさせてあげる。はい、あーん!」

 凛がフォークに唐揚げをさして遼生さんの口まで運ぶ。いつもだったら喜んで食べるところだと思うけど、すぐ隣には父がいるからか遼生さんは遠慮気味に凛に食べさせてもらった。

「おいしい?」

「うん、おいしいよ」

 仲が良い凛と遼生さんに、父はジェラシー全開でものすごい形相で睨んでいる。

「ねぇ、りょーせー君」

「ん? なに?」

 するとなぜか凛は照れくさそうにもじもじし出した。

「りょーせー君のこと、これからはパパって呼んでもいい?」

 不安げに遼生さんの様子を窺いながら聞く凛に、遼生さんはすぐに答えた。
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