真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬致します。婚約破棄しましょう

「殿下、わたくしこの度、真実の愛を見つけましたの」
「はぁっ?!」 
「わたくしラルフ様と婚約をする運びとなりました」
「はぁっ?!」
「長い間お会いしていなかったのですが、わたくしにとってラルフ様は初恋ですの」
「はぁっ?!」

「殿下は喜んでくださらないの?」
「喜ぶわけないだろう! バカなのか?セレスティーヌ!」
「…………真実の愛を見つけたわたくしがバカですって?」
「ずっと浮気をしていたと言うことか?」
「何ですって?!」
「叔父上が初恋なんだろ? 昔から好きだったのか? 私と言うものがありながら!」
「先に真実の愛をみつけて、別れを告げてきたのは殿下でしょう? おバカなんですね?」
「不敬罪だぞ!セレスティーヌ」
「もうお話をすることはありませんっ!」


「おまえはっ……どうしたいんだよっ!」
「何回も言っているでしょう! 真実の愛《ルビ》を見つけたのっ!」


「俺にしとけば良いだろうっ!」
「私の相手はあなたじゃないのっ!」
「だから俺に婚約破棄の書類に無理やりサインをさせたのか!あんなもの無効だ!」
「あなたが自分で書くって言ったでしょう!」
「お前が俺の字を真似て書くって言ったからな!」
「真実の愛を軽く見てもらっては困ります!」
「そんなもんなぁ、一時の気の迷いだ! よく分かった! お前も今自分に酔っているだけだ! 俺にしておけっ、いいから戻ってこいっ!」

「いやよっ!」
「なんだとっ!」
「ラルフ様を愛しているのっ!」
「叔父上は幼女趣味でもあるのか? 国を出た時はおまえ、幼児だっただろう!」

「……ラルフ様をバカにしないでくれる?」
「おまえ、叔父上の事は名前で呼ぶんだな、俺のことは名前で呼ばないくせに!」
「そう言えば、子爵令嬢は呼んでいたわね、おバカな男の名前を」
「不敬罪だぞ!」
「捕まえなさいよ! バカ王子!」
「言ったな!それがおまえの本性か!」
「ばーか!ばーか!ばーか!はぁっスッキリした!」
「バカって言う方がバカだからな!愛!愛!愛!馬鹿らしいっ!バカ女が!」
睨み合う二人…
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