転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
手紙の人

もうすぐ学園は夏期休暇に入る。
その前に学力試験があるけど、学園の皆も夏期休暇を楽しみにしている話がよく聞こえる。

「おはよう。ルイ様とルカ様の夏期休暇の予定は?」

教室に入り挨拶をしていたら、ヘンリー様が登校してきた。

「おはよう。音楽団の公演会があるね」

「あとは、クスフォード家の領地にある避暑地に行ったりとかかな。毎年恒例でクスフォード家とアリストロ家で行くんだよ。ね、クレア」

「ええ。そうなの」

クレアも頷いている。

「あの辺りは自然豊かでいいよね。確か湖とかもあるんだよね」

「そうそう。この季節は涼しく過ごせて素敵なところだったわ!」

「真璃愛は去年オペラ公演の帰りに寄ったんだよね」

「今年も公演会があるからまたお邪魔させていただくわ!」

「ええ?」

「あっ!琉生!今、嫌そうな顔したわね。先日サフィア様に了承をいただいたから、決定事項よ!」

手を顔の前に当ててホホホと笑う真璃愛。
お母様から了承を得ているとは素早いなぁ。

「ねぇ、うちの領地も近いから予定が合えば僕もお邪魔してもいい?」

「そういえば、アベリア伯爵家の領地はすぐ近くだったね。ヘンリー様は大歓迎だよ」

「ちょっと琉生!どういう意味!?」

「ジェイク様は?」

ちょうど席に着いたジェイク様にも聞いてみる。

「私は予定がありますので無理そうですね」

「そっか、残念だね。じゃあまた次の機会に。夏期休暇中の他の日程で予定が合えば王都で集まろうよ」

「ええ。ぜひ」

皆でワイワイと盛り上がっている。

「今年も賑やかになりそうだね」

「フフッ。そうね」

僕はクレアと目を合わせた。


夜、僕の部屋で試験勉強をしていた。

「あと、デートのリベンジをしたいな」

「デートじゃなくても告白はできるんじゃない?」

「うーん。そうなんだけど、最初に決めたからっていうのもあって。ロマンチックにしたいというか……」

テレテレとルイに説明する。

「いいですね。ロマンチックなんて」

メイドのデイジーが僕の言葉に共感しながらイチオシ堂の和菓子を出してくれた。

「だよね?」

「フフフ。では失礼いたします」

お茶の用意をしてくれたデイジーは退室した。

「そんなこと言ってたら誰かに取られちゃうかもよ」

「それは困るよ!」

「じゃあ、早くしたら?クレアも待ってるかもよ」

「う、うん」

僕はゴクリと緑茶を飲み込んだ。



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