転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ～一途な恋の音色～

「ねぇ、ルカ。レオは大丈夫かしら？アリストロ家にあるピアノはたまに弾いていたけど」

クレアが少し近づいてこっそりと僕に言う。
上目遣いで僕を見るクレアに少しドキリとする。
か、可愛い…。

「大丈夫だよ。クスフォード家でも弾いてるから。でも澪音の心配だけ？僕のことは？」

「え！？ ル、ルカは大丈夫だと思うから……」

教室の中央の席で繰り広げられる甘々なやり取りはもちろんみんなに丸見えだ。

「うわ！ルカ様のあの蕩けるような笑顔見た！？ 破壊力抜群だね！惚れちゃいそうだよ。皆も見惚れてるよ！」

「僕から見ても格好いいと思うよ」

「え！？ 同じ顔なのに自分で言ってるよ！」

「ヘンリー様が話を振ったんでしょ？」

そこへ、廊下側の窓からノア様と真璃愛が声を掛けてきた。

「うわぁ、見ていられないね。幸せそうでなにより」

「あ、ノア様とマリアンヌ様」

「ふたりの曲なら私もピアノで弾けるわよ！」

「何言ってるの。マリアンヌ様は自分のクラスの発表があるでしょ？」

呆れ顔のルイ。

「あー、残念！同じクラスだったら良かったのに！っていうか、『ツインズ』やるの？ ヤバッ！！観たい！！」

「…隣のクラスじゃ嫌なわけ？じゃあ、僕は先に行くね」

ノア様がチラリと真璃愛を見て少し不満そうに言う。

「ちょっと！嫌とか言ってないじゃない！」

真璃愛はノア様を追いかけて行く。

「あらら、なんだか仲良くなってるね。夏期休暇中に何が？」

「フフッ。さあね」

真璃愛の賑やかな声がまだ聞こえていた。