転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
すれ違う想い

僕達は今年14歳になる。

そして、来年にはフラワード学園に入学する。
一足先に入学したシェイラと会えない時間が増えてルイは不満そうだ。

「ここで年齢の壁を感じるとは……」

ソファーで項垂れているルイ。

「でもシェイラとは恋人同士なんだからいいじゃない」

何を言っているのと呆れ顔の僕。
ルイとシェイラはこの春から付き合い始めたのだ。

「僕のシェイラはあんなに美人なんだから学園でモテちゃうだろ!?心配だよ!!超ーーー心配だよ!!」

ルイはガバリと上半身を起こして僕を睨む。

「そ、そうだね」

珍しい。ルイが前世のプライベートの時の琉生になった。

普段僕達は年齢のわりに落ち着いた人のように見えるらしい。
同年代の人より背が高いのもあると思うけど。
特にルイはクールな印象が強いらしく、シェイラと一緒にいる時に笑っているのを見た周り人達は驚いている。

でも前世のアイドルだった時も『クールな琉生君』『可愛い琉翔君』なんて言われてたな。

まぁ、今は部屋には僕達しかいないしね。
それだけルイはシェイラが心配なんだよね。

確かにシェイラはとても綺麗になった。
艶やかな長いストレートの黒髪にキリッとした瞳は知的で、ルイと並ぶと美男美女でお似合いのふたり。
婚約者として名乗りを上げる人が多かったそうだ。
でもルイが8歳の頃から周りの男達を牽制していたからね。
想いが通じてよかったね、ルイ。

「ルカも今の状況に甘えてたらダメだぞ。クレアだって可愛いって人気あるんだからな」

「……うん」

クレアはさらに可愛くなった。
緩やかにウェーブしているオレンジブラウンの髪。
長い睫毛にパッチリとした大きな瞳、小さな赤い唇。
僕はたまに見惚れてしまうんだ。
そして、あの大きな瞳と目が合うと僕は何も言えなくなってしまう。
僕の気持ちが見透かされてしまいそうで、つい目をそらしてしまったりする。

「どうして好きな子には素直になれないの? ルカは本当に不器用だね」

ルイが困り顔で僕を見る。

「なんでかな? 最近は意識すればするほど、ダメになっちゃうんだよね」

それに、クレアへの手紙はまだ届いている。
楽しそうに手紙を読んでいる君を見るたびに胸が痛くなる。
手紙の送り主はどんな人なんだろう。

手紙に書いてあった『愛している』の文字を見てしまってから、僕はしばらくクレアに会うことができなかった。
でも好きになる気持ちは止められないままだ。


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