転生した双子アイドルは伯爵令嬢に恋をする ~一途な恋の音色~
クレアが僕の上着をギュッと握りしめたあと、また泣き出してしまった。
僕達は時間を忘れて花に囲まれた温室にいた。
クレアが泣き止んでもそのまま僕は抱きしめたまま。
またどこかに行ってしまわないように。

今日は授業をサボって温室で花や植物を見ていて、何も言わなくてもクレアも側にいてくれた。

ここはきっと、玲お兄ちゃんがメリアーナ様と放課後にデートをしていたという温室だな。
お兄ちゃん達はどんな話をしていたのかな?

あのふたりのように僕とクレアもいつかは結婚することができるだろうか……。

ねぇ、クレア。『あんなこと言ってくれない』ってどの言葉のこと?
僕とフラン様のことで泣いていたクレアに期待してもいいのだろうか……?

そんな願いを込めて僕の隣で花を見ているクレアの小さな手を握った。



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