愛人家
 わたしはパパの体を揺さぶるが、揺さぶる手にパパの血がべったりと付く。
 わたしはわたしたちを囲む野次馬の1人の服を掴む。

「わ、何するんだ!」
「お願い、早く救急車を呼んで! そうじゃないとパパが死んじゃう‼︎」

 わたしに捕まった人は迷惑そうな顔をしていたが、なりふり構っていられない。

「お願い、誰かパパを助けて‼︎」

 わたしは救急車が到着するまで、必死にその言葉だけを叫び続けた。
< 31 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop