聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

……信じられない。



今、私の目の前にいる人はただの美青年ではないらしい。



「そういえばまだ自己紹介してませんでした。俺は蘭 紫呉(あららぎ しぐれ)と言います。
一応ここの総長…って言うんですかね?やらせてもらってます」



まさかこの人が、暴走族の総長さんだったなんて…。



でも、なんか最後の方の言い方が曖昧だったような…?



「…お名前聞いてもいいですか?そろそろあなたっていうのは飽きてきました」



「あ、そ、そうですね…!すみませんっ…」



たしかに、まだ言ってなかった気がする。



春風 翠(はるかぜ すい)です。えっと…蘭さんは…」



「待ってください。蘭じゃなくて紫呉で結構です」



「えっ…?」



話し続けようとしたのを止められた挙句、急にそんなことを言われてしまった。



いや、「結構です」って言われましても…。
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