聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「行きますよ、翠。こんなところで立ち話している場合じゃありません」



あらためて紫呉さんのカッコよさをしみじみ感じていたら、私の手を取ってどこかへ行こうとする紫呉さん。



「ちょ、ちょっと待ってください…!私、まだ行くって一言も…」



「強制連行です」



真顔で言い切った紫呉さんに唖然とする。



何言っちゃってるのこの人…!



「それ誘拐じゃないですか…!それに、今日は彩那ちゃんと帰る約束をしていたんです…!」



彩那ちゃんの名前を呼ぶと、ぼんやりしていた意識がやっと戻ってきたようで。



「あたしのことは気にしないで行っといで!」



と、鼻息を荒くして私の背中を叩いた。



「えぇっ!?だって、今日はカフェに行こうって…」



言ってたよね??



「いいんだって!」



「で、でも…」



今日紫呉さんに会えると思っていなかったから、いくら会いたいと思っていてもまだ心の準備というものができていない。
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